全国地域づくり実践事例を紹介! 農山漁村ナビ

湧水池を活かした地域づくりを実践!島で途絶えた稲作文化の復活・継承!

鹿児島県大島郡知名町 上平川環境保全対策向上支援隊

HOME > 事例一覧 > 湧水池を活かした地域づくりを実践!島で途絶えた稲作文化の復活・継承!

日々の写真館

目次へ

事業概要

水資源に乏しい沖永良部島の知名町上平川地区において、貴重な湧水池である「ショーヌホー」の周辺整備を契機に、地域づくりの機運が高まり、現在では途絶えた稲作の文化を子どもたちに伝えるため、事業で整備した体験田において、昔ながらの手法で、田植えや稲刈りまでの農業体験を行うとともに、300年以上の歴史を持つ伝統芸能「上平川大蛇踊り」の継承に向けた取り組みを行うなど、伝統文化の継承を地域づくりに生かしている。
 また、水土里サークル活動(多面的機能支払交付金事業)により、地域ぐるみで農地の維持や施設の長寿命化への取り組みが広がるとともに、地域の将来像を語る話し合いも活発化し、その結果、担い手が確保され、営農意欲も高まり、地域農業の将来像を示した「人・農地プラン」の作成も集落主導で行うなど、他地域の模範となる活動を展開してきた。

目次へ

主力商品・イベント

目次へ

活動背景

過疎化、高齢化、少子化の波が、上平川集落にも押し寄せる中、地域の農地や農業用水、農業水利施設や農道などを、農家だけでなく、地域住民とともに守り、受け継いでいこうという機運が、県営地域用水環境整備事業の構想を契機に高まり、時期を同じくして、農地・水・環境保全対策が創設されたことから、上平川地区でも、平成19年度水土里(みどり)サークル活動(※)の組織を立ち上げ、地域ぐるみで農地や農業用施設を保全する取り組みが始まった。
(※)鹿児島県では、農地・水・環境保全向上対策(現在は多面的機能支払交付金)を活用して、地域ぐるみで農地や農業用施設、農村環境等を保全する取り組みを「水土里(みどり)サークル活動」の愛称で呼び、推進している。
(以下、「水土里サークル活動」と記載。)
平成28年度時点で、知名町において水土里サークル活動に取り組む活動組織は、20組織あるが、農地・水環境保全向上対策がスタートした平成19年度当時は、8組織しか取り組んでおらず、上平川地区は町内の水土里サークル活動の取り組みを牽引する役割も果たしてきた。

目次へ

ポイント・効果

〇ショーヌホーを活かした地域づくり
隆起サンゴ礁でできた沖永良部島は、昔から慢性的な水不足に悩まされてきた。島には、ホー(泉)やクラゴウ(暗川)といった湧水池が各地に多く残っているが、生活用水を得るため、集落は湧水池を中心に形成されてきた。
現在は、これらの湧水池も上下水道施設の整備に伴い、生活用水としての利用は少なくなったものの、今でも集落の大切な資源として、生活用水やかんがい用水、野菜の洗浄、農機具の洗浄等に活用されている。
上平川地区でも、昔からこうした湧水池に頼って暮らしてきた。地域の代表的な湧水池「ショーヌホー」も、昭和30年代に集落住民により整備され、飲用水や生活用水、農業用水、さらには地域の子どもたちの水浴び場として利用されていた。しかし、施設の老朽化や豪雨での浸水被害など、利用に支障を来しており、平成9年頃から湧水池周辺の整備要望が高まり、集落一丸となって整備へ向けた取り組みを始めた。
平成13年度には、上平川地区でワークショップを開催して、地域住民からのさまざまな要望を取りまとめ、平成21年度に着工した県営地域用水環境整備事業によって、集落住民の夢であった「ショーヌホー公園」が、平成23年度にようやく完成した。
整備後は、湧水の農業利用として、ゆり、切り花、球根、さとうきびの発芽促進のための流水処理に活用するほか、子どもから高齢者まで、多くの住民が地域の親水・憩いの場として利用しており、整備前に確認された植物や昆虫、魚介類などの生態系も保全されている。
また、かつて祖先たちが水に苦しんだ歴史を忘れてはならないと、水の恵みに感謝を捧げる「星歌祭」を地域住民の手で企画し、平成27年11月にショーヌホー公園で開催した。
祭りでは、地域住民で構成されたバンドによる演奏や伝統芸能「上平川大蛇踊り」が披露され、集落の内外から約300が参加し、大盛況のうちに終了し、水の恵みに感謝するとともに、伝統芸能の披露で、集落のまとまりが一層、強まった。
○農業体験活動
現在、沖永良部島は畑作中心の営農が行われているが、昭和40年代頃までは、二期作が行われるほど稲作が盛んであった。
しかし、減反政策によって、島内の田んぼのほとんどがサトウキビ畑に転換され、上平川地区からも田んぼがなくなった。
今や島では、農家の子どもであっても、かつて島では稲作が盛んだったことや、田んぼでお米ができる過程を知らない子どもが多い。
上平川地区の子どもたちが通う小学校では、校内に学習田を設けて、5年生の児童を対象に稲作体験を実施しているが、面積が小さいため十分な体験ができないことが課題となっていた。
そこで上平川地区では、これまでも地域の子ども会で行ってきた畑作の農作業体験に加え、県営地域用水環境整備事業によって整備された体験田を利用して、稲作体験を平成27年度から実施することとなった。
稲作体験は、上平川環境保全対策向上支援隊が中心となって、子どもや保護者と一緒に田植えから稲刈りまでの一連の農作業体験を行うことで、かつての島の農業や稲作について伝承する機会を得ている。
また、これまでは、子どもを持つ担い手世代が地域活動に参加する機会があまりなかったが、子ども会との稲作体験によって、親である担い手世代が、徐々に、その他の地域活動にも参加するようになったことも、大きな効果の一つである。
今後は、脱穀や餅つき等の体験型の活動を増やし、世代を超えた「語らいの場」を増やしていきたいと考えている。

目次へ

活動規模

事業名:多面的機能支払交付金
〔農地維持支払活動、資源向上支払活動(共同活動及び長寿命化)〕
開始年度:平成19年度~
総事業費:4,589千円
うち農地維持支払及び資源向上支払(共同)2,782千円
うち資源向上支払(長寿命化)1,807千円
受益面積:90.3ha、 受益戸数:150戸
主要工事:農地や水路、農道等の基礎的保全活動、施設の軽微な補修・更新、
農村環境保全活動(農業用水の地域用水利用・管理)
多面的機能の増進を図る活動(農村文化の伝承)

目次へ

地域資源

湧水「ショーヌホー」

目次へ

今後の展開

知名町では、上平川環境保全対策向上支援隊をはじめ、20の活動組織が水土里サークル活動に取り組んでいる。上平川地区では、この活動にいち早く取り組み、他の集落の模範となるような活動を着実に行ってきた。平成28年度には、町内20の活動組織が広域協定を結ぶ予定だが、今後は、入り作等による近隣の担い手とも協力・連携を図りながら、集落機能を維持する活動を確実に実施していきたい。
また、活動を通じて、集落のまとまりが一層強くなってきており、農地等の維持活動をはじめ、環境づくり、営農、そして伝統芸能と、集落みんなで守り伝えていきたいものは多い。先祖から受け継いできたこれらの宝物を、次の世代にも受け継いでいけるよう、集落が一体となった取り組みを、今後も継続していきたい。

目次へ

困難だったこと

目次へ

基本情報

■名称 :

湧水池を活かした地域づくりを実践!島で途絶えた稲作文化の復活・継承!

■住所 :

鹿児島県大島郡知名町知名307

■TEL :

0997843163

■管理団体 :

上平川環境保全対策向上支援隊

■代表者名 :

平 秀徳

■WEBサイト :

目次へ

公開トーク

新規投稿

書き込みするにはログインする必要があります

利用者自身の個人情報を明らかにする行為や、 個人情報の開示に繋がる恐れが高いと判断される行為、
または他者のプライバシーの侵害に 繋がる書き込みは、ご遠慮ください。