事例 Case

「農福連携~地域と共に生きる。地域と連携し、障がい者支援と地域の活性化をめざす」

福島県西白河郡泉崎村
団体等の名称:社会福祉法人こころん

日々の写真館

概要

・福島県泉崎村において、直売所カフェ「こころや」を運営し、地域の農産物や加工品等の販売、店内のカフェで野菜を中心としたランチ、スイーツ等を提供。
・耕作放棄地の再生利用により、農薬や化学肥料を使用しない農産物を栽培。(野菜2ha、水稲5a)
・高齢のため、継続できなくなった養鶏所を引き継ぎ鶏卵養鶏。(約1,000羽)
・自家栽培及び地域の農業者が生産した野菜を用いた菓子の製造・販売。
・居住者が高齢化している団地や東日本大震災の避難者仮設住宅への野菜及び加工品の移動販売。
・地域住民を対象に食と農業に関する研修会を開催。
・平成29~30年度に「農山漁村振興交付金」を活用し、鶏舎を移転・新築し、地域の農事組合法人「入方ファーム」と連携して新たなブランド卵として販売、また当法人経営の直売所カフェやJAが経営する直売所や菓子店への供給料を増やす。
・泉崎幼稚園児による農業収穫体験。

主力商品・イベント

(1)主力商品
 ・こころんファーム : 無農薬、無化学肥料で育てた農産物と鶏卵
 ・こころん工房 : 洋菓子と和菓子
 ・直売・カフェこころや : 地元農産品と加工品、料理酒・味噌などこだわりの調味料ほか
(2)イベント
 ・年に一度「こころや感謝祭」「こころんチャリティーアート展」「こころんスペシャル交流会」を開催し、地域の皆さんや他の事業所との交流を深めている。
 ・こころやカフェで体験教室を定期的に開催中。

活動背景

(1)当事業所開設について
 精神障害者の支援をしている中で、ストレス性の障がいを抱えた人が目立ち、「1日3回の食事をきちんと食べることや、夜は寝る、朝起きる」という当たり前の生活ができない人も多く、生活習慣を見直すために、食に関する就労支援事業を始めた。平成18年に障害者自立支援法への移行をきっかけに、地域の農産物を販売する直売所を開設し「食べること」をとおして地域の方々とコミュニケーションを持ち、障がいを持つ方の社会参加、就業支援の充実を目指している。
(2)農福連携について
 「農業従事者の高齢化や担い手不足による遊休、耕作放棄地の増加による農地の荒廃」の農業全般の問題と、「障がい者の利用できる福祉サービスや働く場がない」という福祉側の問題について、「農福連携」を行うことで相互の問題を解消し、地域の活性化につなげようとする考え方はとても有効だと思われる。

ポイント・効果

(1)ポイント
 ・耕作放棄地を再生利用し、無農薬、無化学肥料で農産物を栽培。
 ・継続できなくなった養鶏場を引き継ぎ、鶏卵養鶏を実施。
 ・高齢化が進む団地や東日本大震災の仮設住宅へ野菜や加工品を移動販売。
(2)効果
 ・直売所の売上は、約2,000万円から約5,800万円に増加。(H24-H28)
 ・売上増加により、工賃も向上し、障がい者の経済的自立に寄与。
 ・自家生産の農産物の売上は、約120万円から約330万円に増加。(H24-H28)
 ・障がい者への理解が進み、利用者が地域にとけこむことができた。

活動規模

(1)就労支援
 ・就労移行支援、就労継続支援A型・B型、ジョブコーチ支援(定員40名)
 ・直売所、カフェ、菓子・惣菜製造、農業(畑2ha 水田5a)、養鶏(1,000羽)
(2)生活支援
 グループホーム、ケアホーム、ホームヘルプサービス
(3)活動支援
  地域活動支援センター、相談支援事業

地域資源

・福島県精神保健福祉協会、福島県精神保健センター、福島県就労支援ネットワーク、ハローワーク、障害者福祉サービス事業所ほか
・福島県、県南保健福祉事務所、県南農林事務所、県南地方振興局、市町村(角保険福祉課)、企業、学校、医療機関(精神科)ほか

今後の展開

 地域を巻き込みながら事業を展開することにより、農業の持つ魅力やリハビリテーション効果の理解を広げることで、新しい農業の発展が期待できる。地元の農業者が生産する飼料米を餌として利用し、鶏糞を堆肥化して農地に還元する地域循環型農業を目指す。
 また、女性や高齢者による伝統的な食品の加工所を設置し、新たな雇用が生まれるような事業に結びつけていき、人の体と心の健康は豊かな食生活からということを念頭におき、農業、食育、福祉に関わる取り組みを進めたい。

基本情報

タイトル 「農福連携~地域と共に生きる。地域と連携し、障がい者支援と地域の活性化をめざす」
住所 福島県西白河郡泉崎村大字泉崎字下根岸9
TEL 0248-54-1115
団体等の名称 社会福祉法人こころん
代表者名 関 元行
WEBサイト http://www.cocoron.or.jp

住所